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最高裁判所第三小法廷 昭和38年(オ)1460号 判決 1965年9月28日

上告人

中之島商事株式会社

代表者

遠山市造

代理人

三木幸雄

被上告人

桜庭晴子

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人三木幸雄の上告理由第一点について。<省略>

同第二点および第三点について。

原判決の引用する第一審判決の認定するところによれば、被上告人は、上告人に対し昭和三六年五月一九日到達の内容証明郵便で、上告人の延滞賃料額三万九〇〇〇円および電気代瓦斯代水道代等の立替金七万三〇五二円を右書面到達後七日以内に支払うべく、もし支払がなければ本件賃貸借契約を解除する旨の条件附解際の意思表示をなしたが、上告人は右期間内にこれを支払わなかつたというのである。右事実によれば、被上告人が支払を催告した債権は右の二口であるから、上告人は右のうち延滞賃料額のみを提供しても、それが延滞賃料額として全額の提供である限り、被上告人はその受領を拒むことが許されないのである。この点に徴すると、本件において、被上告人は、たとえ上告人において右延滞賃料額の分のみを提供してもこれを受領しない意思が明らかであるとは認められない旨の原審の判断は、肯認できるところであり、原判決に所論の違法は認められない。論旨は採用できない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。(五鬼上堅磐 横田正俊 柏原語六 田中二郎)

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